O. H.

　尼崎営業所にて、運転職としてタンクローリーを使用してダイセル製品の出荷～輸送～納入を行うと共に、運転職のリーダーとして、所内の運転職メンバーのフォロー、教育を行っています。
　また、当社では共育センターという、自社社員が講師となり、自社社員が教育を受け、講師・受講者共に学ぶ研修の場があります。私は毎回講師として参加し、全社の運転職のボトムアップを行っています。
　共育センターでの運転職の研修は、月に１もしくは２回、金曜午後～土曜にあり、各拠点から講師と受講者が集まります。金曜は座学で、企業倫理や交通ルールの教育、過去のトラブルに対するディスカッションなど、個人の知識向上や、危険物を扱うという自覚を持たせることを目的に講義をします。土曜は一日屋外の研修現場で、実際に運転や納入時の基本動作の確認等を行います。最近は新しい運転職も増え、研修をしている中でベテランには当たり前のことが受講者にとっては当たり前でないことに気づくことがあります。受講者の目線に合わせて研修をすることは、講師としても学びが多いです。

　尼崎営業所は、雰囲気がよくストレスを感じない環境です。それは、当社の社風として自主性を重んじている結果だと思います。もちろん間違ったことは間違っていると指摘されますが、自発的な行動を認めていただきます。そのため、困ったことも「自ら改善する」という意識が芽生え、よりよい職場環境を自分たちで作る文化ができています。
　尼崎営業所には、運転職の他に、管理職、技能職、事務職と別職種のメンバーもいますが、その方たちともよくコミュニケーションをとります。コミュニケーションをとることで、お互いに考えていることのズレを修正し、さらに業務を改善していくことができます。直接仕事で関わらない人もいますが、ちょっとした仕事の合間や慰安旅行で日常会話をしたりと、所内の雰囲気はよいです。

　運行する上で面白い点は、運行する中で、プライベートでは行かないところに行けることです。この職種でなければ生涯行くことがないであろう場所に行く事がたくさんあります。海沿いのきれいな景色を見つけたり、過去にラジオで話題になっていたところを実際に通ったりと、新鮮な"気づき"があります。
　難しい点は、車両を含めた設備について理解をし、危機感をもってトラブルが起きた場合の準備をすることです。入社した当初に、納入先で吐出バルブから製品である危険物がにじみ出たということがありました。その際に、どのように対処すればよいのか、知識がないため危機感を感じました。この経験があったので、親しくなったタンクローリーの製造会社の方にお願いし、構造を教えていただくなど、自ら勉強するようになりました。詳しく理解できていなくても、通常の業務はできます。しかし、トラブルが起きた時はより詳しい知識を必要とします。その時の為に危機感をもって学び続けるということは、難しいことですが、当社で運転職として業務をする上で大切なことだと考えます。
　また、共育センターの講師は、面白くもあり難しい仕事です。世間一般の研修でもそうですが、研修を受ける側の意識は人それぞれで、受講するのに後ろ向きな人もいるものです。ですが、せっかく受講するのでしたら、一つでもプラスになることを伝えることができたらいい、それを積み重ねることができたらいいと考えています。情熱的になりすぎず、受講者に合わせて講習することを心掛けています。そうすることで、後ろ向きだった人が、前向きに、積極的に研修に参加している姿とみると、とてもやりがいを感じます。

　率先垂範を心掛けています。まずは「自分がやる」というところを見せます。年齢が上だから後輩に対して「やっておけ」というのではなく、年齢が上だからこそまずは自分が率先してやって見本を見せます。
　「口で言うだけの人にはなりたくない」と思い、昔からその意識をもって業務をしてきました。なかなか結果が伴わなかった時期もあり「間違っているのかな？」と不安になることもありましたが、他営業所の先輩から「その考え方は間違えていないよ」と言っていただき、自信をもって貫いてきました。その結果、普段はそんな話はしませんが、お酒を飲んだ席で後輩から「大野さんが言ったら、みんなやりますよ」と言ってくれたことがありました。その時は、自分がやっていることが伝わっていたのだ、自分がやってきたことが間違いではなかったのだと、うれしく思いました。
　「背中で語る」というのは古い考え方と言われますが、運転職は口下手で、人見知りな人が多いので、この職種にはあっているのかもしれません。もちろん口で伝えることも大事ですが、まずは行動で示すことで、メンバーを引っ張っていくことを大事にしています。

　入社して数年が経ち、マンネリ化してきて、惰性で仕事をしてきた時期があり、そこで改めて危機感を持ち気を引き締めることに苦労をしました。自分の子供の成長を見ている中で、仕事上で自分が停滞していると感じ、自分も成長しなければいけないと感じました。
　その時に、第三者目線で自分を客観視するということを始めました。「我見」と「離見」という言葉があります。「我見」は自分自身が見ていること（主観）です。「離見」は離れたところから自分自身を見ること（客観）です。この「離見」を意識することを大切にしました。運転中であったり、納入時であったり、運転職は常にダイセルグループの看板を背負って仕事をしています。自分は見られているという意識を持ち、感情的にならず、冷静に緊張感をもって仕事をしました。
　加えて、自分が成長するために、資格の勉強をしました。運行をしている中で車中泊が発生する場合は8時間以上の休憩時間があります。その時間の中で、自身の成長のために資格の勉強を始めました。業務に直接つながる危険物や毒劇物の資格から、通関士の資格まで様々な資格をとり、自分を高める取り組みをしました。
　「慣れ」は誰にでも起こりえることで、緊張感がなくなり、そういう時にトラブルが発生するものです。当時自らを律し、鼓舞したおかげで、今無事に業務をし生活できているのだと思います。

　次の世代を育てることが目標です。そのために心がけている点が２点あります。
　１点目は、相手が行動を起こした事実に対して、気づくことです。思っていることを行動に移すことは難しいことです。そのハードルを越えて行動できた時に、気づいて、伝えることをしています。気づく＝認めることです。それが承認欲求を満たすことになり、その人のモチベーションアップにつながると思います。
　２点目は、直接わかりやすく指示をするのではなく、自ら行動してもらうことです。指示をされると、どうしてもやらされ感が出てしまいます。言われてやるのではなく、自ら気づいて、考えて行動してもらうようにしています。もちろん何もなしでは難しいこともあります。その時は会話をし、会話の中からヒントに気づいてもらい、行動を起こしてもらうようにしています。
　今後も営業所として安定して仕事ができるよう、メンバーには、モチベーションを上げ、自ら行動できるようになるようになってもらいたいです。そうなるため、メンバーの成長につながることを今後もやっていきたいと思います。

　２点あります。１点目は、ダイセルグループの物流総元請会社で安定して仕事をすることができる点です。もちろん、総元請としての責任はありますが、ドライバーの仕事は歩合制であるところもあるので、仕事が減り、給料が減るリスクが少ないことは、運転職をする上で大きな魅力です。
　もう１点は、責任感が強い人が多い点です。会社の風土としてそうなのかもしれませんが、ダイセルグループの物流総元請会社として、また危険物を扱うという点で、いい加減ではできない仕事をしている会社だと思います。入社直後はやらされ感でやっていたことも、自然と意識が高くなり、責任感を持って仕事をするようになります。そのような職場ですので、自分自身もそういう責任感の強い人間に成長できる会社だと思います。